【SaaS型/ストック型の新規事業立ち上げの考え方】
コンテンツ販売によるSaaS型/ストック型事業の商品開発時に押さえたい3つのポイント

新規事業立ち上げ「②商品開発(販売コンテンツの制作等)段階」に押さえておくべき3つのポイント

SaaS型/ストック型の新規事業立ち上げに役立つシリーズ【第2回】

私たちmasterpeaceは、中小企業を中心にこれまで多くのSaaS型/ストック型の新規事業を立ち上げる際の伴走支援を行ってきました。新規サービスを企画し、商品開発をおこない、広めていくプロセスには、各段階ごとに考えるべきポイントがあります。
新規事業を立ち上げたいけれど「何から始めればいいのか分からない」という方に向けて、まずは押さえておくべきポイントをご紹介します。

 

◎この記事がおすすめな方
・大きな予算があるわけではないが、新規事業を立ち上げたいと考えている中小企業の方
・自社の強みを活かしたSaaS型/ストック型の新規事業を立ち上げたい方
・「何から始めればいいのか分からない」「何を考えればいいかを知りたい」方

 

 

SaaS型/ストック型の新規事業を立ち上げるには、大きく分けて3つの段階があります。
「①企画設計」「②商品開発」「③展開」です。今回はその中でも「②商品開発(販売コンテンツの制作等)」に焦点を当て、押さえておくべき大事なポイントをお伝えしていきます。

 

*「①企画設計」「③展開」について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【SaaS型/ストック型の新規事業立ち上げの考え方】 自社の強みを活かしたSaaS型/ストック型事業の企画設計時に押さえたい3つのポイント

【SaaS型/ストック型の新規事業立ち上げの考え方】 B2B展開するSaaS型/ストック型事業の販売・運用で押さえたい3つのポイント

 

なお、本記事ではポイント解説の例として、DC株式会社様と弊社で立ち上げを行った清掃業務スタッフ教育のSaaSサービス「SOKOKARA」を紹介しています。
本サービスの詳細はこちらをご覧ください。
*DC株式会社様|清掃業務スタッフ教育のSaaSサービス事業立ち上げを伴走型でご支援(サービス企画・開発・運用)
https://www.masterpeace.co.jp/works/dc_sokokara_tachiage/

 

自分たちに何ができるのか?どう届けたら最も価値を提供できるのか?
固めた企画設計を主軸に、肉付けていくのが「②商品開発」段階

 

 

企画設計段階で、「誰に対しての事業なのか(Who)」「この事業が必要とされる理由(Why)」を固めたら、商品開発段階で次に考えるべきことは「何を(What)」「どのように提供するのか(How)」です。

 

具体的には次のようなことを決めていきます。
・教材構成の作成
・制作方法の決定
・取材/撮影/制作
・システム設計/利用サービスの選定

 

何をどのように提供するのかを考えるにあたって、ついつい制作スケジュールや配信媒体など、詳細を詰めたくなってしまうかもしれませんが、まず最初に意識したいことが2つあります。

 

■なぜ、あなたがやるのか?

何を商品とするのか、それはつまり自分たちには何ができるのか?を考えることです。
自社の強みは何なのか、また自社だけではなく共に新規事業を作っていくパートナーの強みは何なのか、それが提供できる価値の源泉となります。

 

強みのない領域で勝負するのであれば、強みのあるメンバーやパートナーを押さえることから始める必要があります。まずは、「なぜこのテーマで勝負するのか」を再度考えておきます。

 

■そもそも、その商品は必要か?既に存在していないのか?

 

 

膨らんだアイデアをそのまま商品化してしまう前に、企画設計段階で固めたことを思い出し、その商品にはニーズがあるのか(求める顧客は確かにいるのか?)を考えます。

 

ニーズを確かめる具体的な方法としては、対象として考えている想定ユーザーにアイデアを実際に提案してみて率直な意見を聞くこと(フィールドワーク)が一番です。SWOT分析など様々なマーケティング手法はありますが、実際に聞いてみることの解像度にかなうものはありません。

また、世の中に既に似たような商品が存在していないか?を調べることも欠かせません。
もし既に存在していると分かった場合も、諦めなくてはいけないという話ではありません。見つけた競合企業と一緒に取り組む方法はないか? 例えば、メーカーではなく販売パートナーという立場で協業することはできないか? ビジネスモデルの工夫で活用できないか?などを考えることで、すべてを自分たちでゼロから作らずとも本来の目的を達成できる道が見えてくるかもしれません。

 

ここまでしっかりと考えておくことで、「何を(What)どのように(How)」の精度が高まり、より価値のある商品開発を進めていくことにつながります。

 

 

コンテンツ商品開発のポイント1つ目:コンテンツの中身を精査する

いよいよ具体的な商品開発を進めていきます。

 

■商品全体の目次を決める

教材コンテンツの場合、まずは教材全体の目次を書き出していきましょう。ここでの目次は大見出しレベルの大まかなもので大丈夫です。
目次ができたら、一度企画設計段階で固めた「誰に対しての事業なのか」に立ち返り、内容は整合しているかどうか?届けたい相手が求めているものか?ズレが生じていないかを確認することが大切です。

 

■配信媒体を決める

教材の配信媒体として考えられるものには、紙・テスト・動画・音声・セミナー(Webinar)など、さまざまな方法があります。
ここでも大切なのは、企画設計段階で固めた「誰に?」です。
どれが商品として形にしやすいか、扱いやすいかといった理由によって配信媒体を決めてしまいがちですが、「想定している顧客に」届けるためにはどの形式が一番学習効率が高いと自信をもって推薦できるか?で決めることが重要です。

 

■誰が作るかを決める

教材コンテンツの中身は、その領域を得意としない人が作っても意味がありません。
何を作るか決まったら、作れる人が自社内にいるか?もしいない場合は社外から参画してもらうことはできるか?を考えましょう。

 

▼(例)「SOKOKARA」の場合
ビルメンテナンス会社様(Who)が抱える、清掃スタッフの教育不足によるリスク課題、現場品質を向上させたいニーズ(Why)に応えることを企画設計で固めた「SOKOKARA」は、DC株式会社様の持つ清掃現場での知見と、弊社の持つコンテンツ編集の強みを活かし、現場で必要な基礎から実践スキルまでを簡単に何度でも学べる教材(What)を作りました。

教材全体の目次は、現場で必要となるモラル・マナーの基礎から、実践的なスキル、クレーム対応といった幅広い分野までを網羅できる構成になっています。

また、人材の出入りが多い清掃現場を想定し、個人のスマホで学習することも、入社時の集合研修で活用することもできるように、何度でも学びやすい動画コンテンツを配信媒体に選びました。

コンテンツの制作にあたっては、清掃現場の知見があるDC株式会社様に原稿を用意していただいたうえで、弊社側のネットワークからプロの編集者をアサインし精度を高めていきました。

 

 

コンテンツ商品開発のポイント2つ目:ビジネスモデルから提供方法を考える

 

 

教材コンテンツの形式が決まったら、配信する仕組みの設計を進めていきます。

ビジネスモデルとして、価格感(単価の高低)とお客様との付き合い方をどう設計するのかが大事なポイントです。

(例)
 *短期的に高い売り上げを立てる ⇒スポット販売(売り切り)
 *長期的にお付き合いすることで積み上げる ⇒ サブスク型/ストック型/定期購買

コンテンツを提供する単位や期間を設計する際には、届けたい想定顧客が買おうと思えるか?を考えながら、その範囲内で最大の利益が生まれる値付けを検討します。

(検討例)
 *B2Bサービスの場合に、ユーザー1人1人に課金するか/法人単位で使い放題型のプラン構成とするか?
 ⇒いずれにもメリデメはありますが、前者のユーザー単位課金の場合は、個人を特定・価値づける必要性があるため、「個人別テストの仕組み」や「学習した個人に報いる資格制度」等を絡めて考えます。

最後に、提供方法をどのように開発するかを考えます。配信システムについては、すべてを自分たちで作ろうとすると、それだけで莫大な開発コストと運用コストがかかります。まずは、既存のサービスを活用できないか考え、どうしても必要な部分は自社開発することを検討しましょう。

▼(例)「SOKOKARA」の場合

ビルメンテナンス業界の中で、スポットのお取引にとどまらない幅広い関わり方、業界全体の底上げに貢献したいという想いから、お客様との長期的なお付き合いをしていくことを第一に考えていた「SOKOKARA」は、SaaS型ビジネスとして設計をおこないました。

また、実際に届けたいビルメンテナンス会社様にヒアリングを行い、挙がってきたニーズを踏まえて、個人ごとに学習が進められ、管理者の方がテスト結果を活用できる価値をつけたユーザー1人1人に課金するプランと、1年間人材の出入りに応じた活用ができる法人単位での課金プランを用意しました。

同時に、様々な既存のeラーニング配信サービスを調査したうえで、活用するサービスを選定。クラウドサービスを活用することで、開発コストを抑え、長期的に運用していけるようになりました。

 

 

コンテンツ商品開発のポイント3つ目:生み出す新規事業が次にどう繋がっていくのかを考える

 

新規事業を立ち上げる時に重要なのは、商品やサービス単体で考えるのではなく、既存事業との関わり合いを含めた、顧客との関係性が次に何に繋がっていくのか?を考えることです。垂直展開もしくは水平展開ができないかを考えてみることで、せっかく生み出す新規事業を長い目で育てていく方法が見えてきます。

 

 

▼(例)「SOKOKARA」の場合

ビルメンテナンス業界全体の様々な課題解決に携わりたいという想いから、プロジェクトチームでは、開発段階においても将来的に「SOKOKARA」をどうしていきたいのか?を考えてきました。
その結果、現在は外国人スタッフへの教育ニーズに対応した「SOKOKARA(多言語対応)」、清掃業に限らずサービス業全体に活用できる「SOKOKARA(サービス業版)」などに展開を広げ、今後もさらなる展開を見据えた開発を進めています。

 

まとめ

新規事業立ち上げの商品開発段階において、最も大事なことは、企画設計段階で固めた「誰に対して、何のために届けたいものなのか」に沿った開発を進めていくことです。
なぜあなたがやるのか?どう提供するのが顧客にとっては最も価値を出せるのか?事業を次に繋げるには?
これらを更に深めていくことで、軸のブレない新規事業を立ち上げることができます。

 

私たちmasterpeaceは、時間をかけて、事業を育むことに伴走しています。この記事を読んで、自社の強みを活かして、長期的にお客様のお役に立つ事業開発に関心をいただけたら、ぜひご連絡ください。

 

まずは緩やかなブレストから始めましょう!

お問い合わせ

お仕事のご依頼、お問い合わせ、その他ご相談はこちらからご連絡ください