【新規事業の検討ポイント解説】
リモートワークで働くチームをつくるための業務整理/業務環境の作り方
全国から問い合わせ業務にリモート参画するReChatプロジェクト事例
2024-09-13
大切なのはチームメンバーが安心して、自信を持って業務に取り組めるよう環境を整えてくこと
「型化・共有・役割」の3つの要素をバランスよく取り入れる
全国からリモートワークで働く方々がチャットを活用した顧客対応業務に参画するReChatプロジェクト(詳細後述)の立ち上げに際し、弊社ではチームの組織化、業務レクチャーを支援いたしました。
このプロジェクトでは、リモートワークを活用した環境で、はじめて業務に就く方が「業務を覚えて」「複数のメンバーと連携して」「参画していく」ことがポイントとなりました。
実際に取り組んだ具体的な事例を交えながら、社内外でリモートワークで働くチームを整備していく際のポイントを紹介します。
「ReChatプロジェクト」の概要
株式会社らっく がリリースした「生成AIを組み込んだチャット対応システム」と「働き方に 制約のある人材(闘病中・障がい者・引きこもり等)がリモート参画する就労チーム」を組み合わせた、有人チャットによる顧客対応サービスを立ち上げた新規事業開発のプロジェクトです。 全国の志ある就労支援事業者と連携し、賃貸マンション・アパートの管理問い合わせ・対応 を受け付ける株式会社リペアサービスより委託を受け、入居者対応を行っています。
(参考)プレスリリース「コールセンター・顧客対応の人手不足に 「生成AI組み込みチャットシステム」と「多様な働き方」で対応。 全国からリモート参加する働き方に制約のある人材チームが運用する ReChatプロジェクトを正式リリース。
https://www.masterpeace.co.jp/news/release-20240521/
リモートワークのチーム整備
リモートワークのチーム整備とは、リモートで働くメンバーが効果的に協働することができるように、必要なルールやツールの使い方などを整備したり、協力体制を整えたりすることです。
今回のプロジェクトでは、初めてリモートワークに挑戦される方が多くいらっしゃいました。そのため、リモートという環境でも、安心して、また、自信を持って業務に取り組めるように、チーム整備を進めました。
リモートワークのチーム整備に必要な3つの要素「型化・共有・役割」
リモートワークでは、適切な仕組みがないと、メンバー間の連携が難しくなります。例えば、同じオフィスで働いていれば、共に働くメンバーの状況はすぐにわかり、いつ声をかけてよいものかなども把握しやすいのですが、離れた場所で働いている場合は、状況把握にもひと工夫が必要です。
そのため、メンバーが同じ成果を出せるように作業の一貫性を保つことが必要です。また、業務を行っていくうえで必要な最新情報を共有しやすい仕組みを作り、メンバー間でミスコミュニケーションを生まないためにも、それぞれの役割を明確にすることが重要です。
①「業務手順の型化」
メンバー全員が業務内容を理解できるようにし、同じ成果を出せるようにする
②「情報共有の仕組み作り」
業務をおこなっていくうえで必要な最新の情報をいつでも閲覧できるようなツールや、コミュニケーションツールなどを導入し、仕組みを作る
③「役割定義」
メンバーそれぞれが主体的に業務に取り組むことができるように、役割を明確にする
リモートワークのチーム整備ポイント①業務手順の型化
対応のばらつきを防ぎ、対応の品質を統一するためには、業務を整理し、手順を型化することが必要です。
「マニュアル整備」で、仕事の「なぜ」と「どのように」を明確にする
すでに存在する業務フローを参考にしながらも、業務担当者・サービス管理者にヒアリングを行い、先ず、対応業務を洗い出しました。そのうえで、なぜこの業務をするのかなど、目的や理由も加え、システムの操作方法や対応業務をイメージする画像を多用したマニュアルを制作しました。
「動画マニュアルの活用」で、誰が見ても誤解を抑える手順を整備
実際にシステムを操作している様子を見ることで、理解度を深めることができるため、システム操作の基本的な操作部分は、操作風景を画面録画し、動画マニュアルを作成いたしました。
今回は「自分が顧客に対してどんな対応をすればよいのか」そんな不安を感じないよう、対応業務をイメージしやすくするために一連の操作の流れを示す動画と、操作手順ごとに分割し、短時間で繰り返し視聴できる動画の2種類を制作しました。
マニュアルは定期的に更新して、常に最新の状態を維持する必要がありますが、動画マニュアルは、制作に時間を要することが課題となりました。そのため、動画マニュアルは基本的な内容に絞り、対応する際のヒントなどは、後述するGoogleスライドで制作したマニュアルにて、補足いたしました。
リモートワークのチーム整備ポイント②情報共有の仕組み作り
チームメンバーが物理的に離れて働いているため、情報が自然に伝わりにくいという課題があります。そのため、情報共有が特に重要です。
「ポータルサイトの準備」で、業務開始時に何をすればよいかが明確
情報共有の仕組みとして、まずポータルサイトを準備しました。今回の業務では、複数のシステムやマニュアルを使用しますが、それぞれのシステムの入り口を配置し、ログインの方法なども統一しました。また、お知らせ欄を設け、トピックスなど新規情報も掲載しました。 ポータルサイトがあることで、何を見たらいいのか?ということが明確になり、メンバー全員が「業務開始時には、まずこのサイトを開く」という共通認識を持つこともできました。 ポータルサイトへの閲覧は、業務対応するメンバーやその管理者だけが閲覧できるよう、制限を設けました。
「業務シフトの共有」で、所属チーム以外からの適切なサポートも可能
今回のプロジェクトでは、複数の事業所、複数のメンバーで、365日 8時から22時まで顧客対応業務をいたします。業務シフトを、携わる全メンバーと共有することで、対応者不在時のフォローなど、事業所内だけでなく事業所間にて、適切なタイミングでサポートしたり、調整を行うことが容易にできるようになりました。
「クラウド上のデータ共有」で、チームメンバーはいつでも最新情報を閲覧
マニュアルは定期的に更新して、常に最新の状態を維持する必要があると上でもお伝えしましたが、クラウド上でマニュアルなどを共有することで、共有した情報の更新・管理といった運用面の手間を削減することができます。
今回は、Googleスライドでマニュアルを制作しましたが、制作側には編集権限を、チームメンバーには閲覧のみの権限を設定しました。そのため、制作側が更新した情報を、チームメンバーは、いつでも最新版として閲覧できるようになりました。
一方で、画面からの情報は、頭に入りにくいといった声もあります。このような意見にも配慮し、印刷してもできる限り見やすいレイアウトにするなどの工夫が必要です。印刷した場合には、更新した情報がリアルタイムでは、わかりません。そのため、データを更新した際は、ポータルサイト等で、情報更新の案内をすることが必要です。
リモートワークのチーム整備ポイント③役割定義
かかわるメンバーそれぞれに、あらかじめ役割を明確にしておくことが大切です。明確でない場合、業務範囲の所在が不明瞭になり、ミスコミュニケーションが生まれることがあります。
「役割の明確化」で、それぞれが自分の業務に取り組み、無駄な作業や混乱が減る
強みや専門性を活かして、書くメンバーに役割を割り当てます。役割を決めることで、誰がどの業務を担当するかが明確になり、自分の責任を理解し、主体的に業務に取り組むことができます。 また、役割が明確になると、誰が何をすべきかがわかりやすくなり、無駄なコミュニケーションや作業が減ります。無駄な作業はストレスを生む原因となりますが、ストレスが減り、メンバーのモチベーションを高めることもできます。
「協力と連携の促進」で、メンバー間の信頼関係も深まる
役割の分担だけでなく、各役割がどのように連携するかを決めておくことも大切です。 今回のプロジェクトでは、チャットやメール等で常に情報のやり取りをしてコミュニケーションを図っていましたが、定期的にオンラインでの会議を設けました。定期的に行うことで、意思決定タイミングをスケジューリングでき、また、オンラインではありますが顔を合わせることで、メンバー間の信頼関係も深まりました。
まとめ
リモートワークで働くチーム作りで大切なのは、チームメンバーが安心して、また、自信を持って業務に取り組めるよう環境を整えてくことです。 今回お伝えした3つの要素「型化・共有・役割」をバランスよく取り入れ、リモートワークのメリットを最大限に活かしたチームを整備していきましょう。