がん罹患者でもある著者 水戸部ゆうこさんに聞く、想いを込めた書籍制作のストーリー。 「わたしの想いや軌跡を子どもたちに残したい」その想いに迫る

取材記事

書籍『がんなのに、しあわせ ーどんなときも、自由に、自分らしく生きる』の著者 水戸部ゆうこさんに制作の裏側をお聞きしました

がん罹患者として就職し、勤務先のブログでがんに関する様々な情報を発信し続けてきた水戸部ゆうこさん。今回、私たちはその情報を一冊の本にまとめるお手伝いをさせていただきました。

 

完成した書籍『がんなのに、しあわせ ーどんなときも、自由に、自分らしく生きる』では、ブログで発信してきた情報や、働くことを通して自分らしく生きられるようになった著者の体験が綴られています。肺がんステージ4の告知を受けながらも、少しの勇気で人生を楽しみ続けている著者のメッセージが詰まった一冊です。

 

この記事では、水戸部さんに取材した書籍制作の裏側についてご紹介いたします。

 

書籍『がんなのに、しあわせ ーどんなときも、自由に、自分らしく生きる』

著者:水戸部ゆうこ 

https://www.masterpeace.co.jp/works/good_book20230417/

 

 

まず、今回の本を出版したきっかけは何だったのでしょうか?

「勤務先の上司が提案してくれたことがきっかけです。今まで自分が本を出すなんて、考えもしませんでしたが、『書籍化できたら、病気の人の希望になるよね?』と言われ、ハッとしました。更にご提案を受けて、わたしの想いや軌跡を子どもたちに残したいと強く思いました。」

 

 

今回が初めての書籍制作だと伺いました。実際に制作してみて、難しかったことはありましたか?

「題名にしても、帯のメッセージにしても、ひとつひとつを決めていくことがなかなか大変でした。編集者さんがいてくれないと、善し悪しがまるでわかりません。その一言に集約するセンスが素晴らしいなと思いました。いいヒントをたくさんいただき、本当に助けられました!」

 

 

表紙に使われている夕日の写真がとても印象的ですね。この写真は水戸部さんが撮影されたものでしょうか?

「はい。表紙も中身も写真は全て、わたしがスマホで撮ったものを採用していただき、デザイナーさんに、ステキな感じに仕立てていただきました。デザイナーさんって、すごいですね。別のパターンをリクエストすると、直ぐに作ってくれました。表紙も挿絵も、どちらもとても気に入っています!」

 

 

本の発売日4/17は水戸部さんのお誕生日だったと伺いました。3カ月ほどかけて完成した本を受け取った日のことを聞かせてください。

「正直言うと、今年2月の時点で体調が悪化したので、49歳の誕生日を迎えられるかどうか? と思っていたんです。実際に本を手にした時、とても嬉しかったのですが、現実のことではないようで……不思議な感覚でした。更に子どもたちに本が届いたことを伝えると、次男は『へー』という……さっぱりとした反応。長男は『読みたい』と言ってくれました。でも、決して渡すことはしていません。『ここに置いとくから』とだけ伝えました。自分の心が本当に『読みたい』と思った時、自分の意志で手に取ってほしいと思っています。」

 

 

本の印税収入を息子さんにゆだねる際に「ある約束」をされたそうですね。それは、どのような約束なのでしょうか?

「はい。印税収入は長男にゆだねようと思っています。(どのくらいのものか…想像がつきませんし、期待しないようにしていますが……)長男はわたしからすると無類の勉強好きで、それなりにお金もかかると思ったからです。長男の口座で契約するにあたって、ある約束をしました。それは、わたしのお世話になっている勤務先に、お気に入りのフェアトレードのチョコレートを送り続けてほしいということです。わたしががんでも仕事に就けたのは、今はまだ珍しいことで、受け入れてくださった会社の考え方のおかげだと思っています。それはとても大きな意味があります。病気を抱えた弱い立場の人でも、社会で活躍できる機会がある。このアピールは社会の変化を生み出すことにも繋がるのではないか? と思っています。沢山の方にご協力いただいたおかげで無事に本が完成し、本当に感謝しています。」

 

 

著者紹介

水戸部ゆうこ

1974年4月17日生まれ。東京都小平市在住。2児の母。

2018年5月、咳が止まらなくなり、検査の結果ステージ4の肺腺がんと診断される。

手術・放射線治療もおこなえず、抗がん剤治療を始めるも、がんと分かったショックから離職。

孤独や経済的不安にさいなまれ、精神腫瘍科にかかる。

自分の命に限りがあることが分かり、病気の経験を生かす生き方を目指して、がん患者への理解促進や、がん教育などに関心を寄せる。

2020年、会員となっていたキャンサーペアレンツから秋葉原社会保険労務士法人を紹介され就労。

2022年、会える距離=地域で「ささえあい(ピアサポート)」を目的とした集いの場、「地域でがんサロン~CancerおしゃべりCafe」を立ち上げる。

 

 

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