伝えるための「タイトルと表紙」の考え方【広報・PRのための、シンプルな本と企画のつくり方】第9回

伝える・選ばれるための、タイトルと表紙

広報・PRのための、シンプルな本と企画のつくり方

この連載では、good.book(グーテンブック)という出版サービスでこれまで100冊ほどの書籍企画・編集・発行を手掛けてきた著者が、お手伝いさせていただいた企画やプロジェクトの経験から「シンプルな本づくりのポイント」を解説します。本づくりだけをしてきた著者ではないからこそ言える、「単なる本づくりではなく、事業や活動を広げる目的をベースにした出版プロジェクト」についてお伝えします。

 

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読む・読まないはタイトルで決まる

本のタイトルや表紙は、読者が書籍を読む・読まない(買う・買わない)を判断する際に、とても重要な役割を果たします。当たり前のことですが、読者は本を手に取る前に必ずタイトルと表紙を見ています。タイトルや表紙で興味を持てなかった本は、内容説明や紹介文を読んでもらうことさえできません。本の内容がどれほど素晴らしくても、まずは手に取ってもらえないと何も伝えられないので、タイトルや表紙は特にしっかりと考える必要があります。
最近はアマゾンなどのWeb書店で書籍を買う方も多いでしょう。リアル書店で表紙に興味を惹かれて手に取るのと同様に、Web書店でも表紙デザインはもちろん、「商品名」として登録されているタイトルが、書籍を見つけてもらうためのきっかけとして活躍します。また、書籍検索(Web書店内検索やグーグル検索など)でも、タイトルが検索キーワードとして非常に重要です。

 

タイトルには2つのパターンがある

売れている本のタイトルは、次のどちらかのパターンに当てはまることが多いのではないでしょうか。

 

■パターン1 「この本を読むことで何を得られるか」が、具体的かつ簡潔に伝わるタイトル
■パターン2 興味と驚きを喚起する「フックのある(インパクトのある)」タイトル

 

「アマゾン売れ筋ランキングTOP50」の本のタイトルを少し見てみましょう(本原稿執筆の2019年9月時点)。
 ①嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え
 ②日本一稼ぐ弁護士の仕事術
 ③Excel 最強の教科書[完全版]―すぐに使えて、一生役立つ「成果を生み出す」超Excel仕事術

 

①『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』はパターン2といえるでしょう。極めて強いトーンの言葉「嫌われる」を先頭に持ってくることで、「えっ!?」と見た人に驚きを与えています。そこから(単体では固い印象の)アドラーへつなげることで、そのギャップに関心を惹くことができているのではないでしょうか。
こうした「フックのあるキャッチコピーや強い宣伝文句」で興味関心を惹くという方法は、著者自身またはテーマやコンテンツに極めて強い力があるときにやるべきことでしょう。著名な著者による企画や、話題にする仕掛け(プロモーション戦略)と組み合わせて、より有効に働くことが多いように思います。

一方、②『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』と、③『Excel 最強の教科書[完全版]―すぐに使えて、一生役立つ「成果を生み出す」超Excel仕事術』は、より具体的に内容を伝えている、パターン1のタイトルといえるでしょう。
特に③はキーフレーズが盛りだくさんです。「Excelのハウツー本であること」が明確に分かるメインタイトルに加えて、「教科書」という表現からは、初心者でも基礎から学べる網羅的な本であることが伝わってきます。さらにダメ押しで「完全版」がお得感を醸成しているように思えます。

 

ジャンル別に見ると、実用書やビジネス書では、より具体的に内容を伝えられるパターン1のタイトルが適している場合が多いと思います。
インパクトのあるかっこいい言葉や捻りすぎたタイトルにして、この本を読むことで何が得られるのかが伝えられないと、2つの問題が発生します。一つ目は、読者にその本を読むメリットが伝わりにくく、手に取ってもらうことが難しくなるということ。2つ目は、そもそも本を探す読者の検索キーワードとしてヒットせず、本そのものを見つけてもらえないという問題です。

 

2つのパターンは、どちらが良い・悪いといったものではありませんが、タイトルを決めるときには、目的に応じてどちらのパターンとするのかを決めてから考え始めた方がよいと思います。

広報・PRという点で考えても、Web検索で読者自身に探してもらいたいキーワードがあれば、分かりやすいパターン1の路線を検討される方がよいと思います。そうではなく、配布やセミナー会場での販売など、読者に探してもらうよりも、こちらから提供していくことが中心でインパクトを出したいのであれば、パターン2で印象づけるということも十分アリな方法です。

 

弊社のタイトル決めにおける「3つのポイント」

先のタイトルの2つのパターンでいうと、弊社ではパターン1「この本を読むことで何を得られるかを具体的かつ簡潔に伝えられている」に寄せて企画することが圧倒的に多いです。また、タイトルを決めるときは、必ず次の3つを心がけています。

 

 ■著者の希望を反映し、何を伝えて、読んだ人にどうなってもらいたいかを伝えられるタイトル
 ■「何が得られる本か」が分かるタイトル(より具体的にイメージできるようにする)
 ■「誰に向けての本か」が分かるタイトル(プロ向けであれば専門書であること、一般向けであれば手軽さをアピールする)

 

例えば、弊社から出版した『簡単解説!! 1時間でわかる電力自由化入門』という本がありますが、この本では「何が得られる本か→電力自由化に関する情報や解説」「誰に向けての本か→初心者を含む一般層」が伝わるようにタイトルを付けています。

本連載のタイトル『広報・PRのための、シンプルな本と企画のつくり方 』も同様です。次のように考えて、このタイトルは決めました。

 

・著者の希望(弊社が読者に届けたいこと)=本づくりや出版が広報・PRに役立てられるということを伝えたい。
・何が得られる本か=「本と企画の作り方」が分かる本にしたい。
・誰に向けての本か=一般的な本を作りたい方ではなく「広報・PR」をミッションとする方に特に絞りたい。また、簡単で入門的なレベルの内容(シンプル)

であり、本づくりをしたことがない人を読者ターゲットとして考えたい。

 

サブタイトルやキャッチコピーが売れ行きに影響することも

タイトル決めに関する重要なポイントとして、「サブタイトル(副題)」や「キャッチコピー」の付け方があります。
例えば先ほど例に挙げた『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』であれば、『嫌われる勇気』がメインタイトル(主題)で、『自己啓発の源流「アドラー」の教え』がサブタイトル(副題)です。メインタイトルだけでは伝わらない本の内容を、サブタイトルの説明で補っているのです。
このように、タイトルを考える場合は「メインタイトルと別にサブタイトルを付けるかどうか」、付ける場合は「メインとサブをどう使い分けるか」がポイントとなります。場合によってはメインタイトルよりもサブタイトルの付け方によって、本の売れ行きが左右される場合もあります。

 

サブタイトルと同様に重要なのが、「キャッチコピー」です。キャッチコピーは、メインタイトル、サブタイトルとは別に付ける、その本の「売り文句(宣伝文句)」で、「〇〇業界で話題騒然のノウハウを伝授!」といった類のものです。キャッチコピーは、表紙デザインを作成するときに、タイトルとセットにして(タイトルの上に)表記するパターンもあれば、「帯」部分に記載する場合もあります。
サブタイトルと同様、キャッチコピーがその本の売れ行きを左右することも少なくありません。タイトルを決めるときは、表紙のデザインもイメージしながら、どういうパターンで本のコンセプトや内容を訴求するのがよいかを、編集者とも相談しながらじっくり考えましょう。

 

「本の顔」となる表紙の作り方

タイトルやキャッチコピーが決まったら、表紙デザインを作ります。出版社によっては、表紙デザインは出版社側の意向で制作し、著者の意向があまり反映されない場合もあります。弊社の場合は、著者の希望もヒアリングしながら制作を進めることにしています。
具体的には、編集者とデザイナーが相談して、デザイン案を何パターンか制作する➝弊社と著者で検討し、どの案がいいか絞り込むと同時に修正箇所を整理する➝デザイナーにて修正案を制作➝再度、弊社と著者で吟味・検討し、最終デザインを決定する、といった流れになります。

多くの読者は、知識やノウハウなど、何か得られるものを求めて本を読んでいます。その目的に応えられることがタイトルと表紙でしっかりアピールできていると、より読んでもらいたい人に本を手に取ってもらうことができます。
本のタイトルと表紙は「本の顔」であり、売れ行きにも大きく影響をおよぼすと意識して、ベストなタイトルと表紙を考えましょう。

 

今回は、本をしっかりと届けるためのタイトル付け・表紙についてご紹介しました。次回は、本づくりの仕上げ工程ともいえる「組版」についてご説明します。

 

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