本を製品にするための「組版」と「印刷・製本」【広報・PRのための、シンプルな本と企画のつくり方】第10回

組版と製本で書籍を完成させる

広報・PRのための、シンプルな本と企画のつくり方

この連載では、good.book(グーテンブック)という出版サービスでこれまで100冊ほどの書籍企画・編集・発行を手掛けてきた著者が、お手伝いさせていただいた企画やプロジェクトの経験から「シンプルな本づくりのポイント」を解説します。本づくりだけをしてきた著者ではないからこそ言える、「単なる本づくりではなく、事業や活動を広げる目的をベースにした出版プロジェクト」についてお伝えします。

 

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本の印象を決める重要な「組版」

まずは「組版」と呼ばれる書籍レイアウトを作る作業についてお話しします。
組版とは印刷工程の一つで、文字や図版などをページに配置し、紙面を構成していくことを指します。もともとは活版印刷の用語で、文字通り、活字を「組み合わせ」て「版」を作ることに由来します。
この組版によって、印刷することのできる書籍の紙面が完成します。ここまでのステップでは書籍の中身(原稿等)を作り、磨いてきましたが、本づくりの終盤にあるこの工程によって、目に見える形で書籍ができ上がるのです。
この組版次第で、書籍を開いたときの印象(読みやすさやメリハリ)が大きく変わります。もちろん原稿内容が最も重要だとは思いますが、やはりここも手を抜くことはできない工程です。

原稿を書くとき使うことの多いMS Word上でも文字の大きさや書体を選べるので、組版をせず、入力した文章をそのままプリントアウトするだけでもそれなりの完成度で文章を読むことができます。ただ、しっかりと組版された一般的な本と比較すると、読みやすさは劣ります。特に日本語は、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字と、いろいろな文字が混ざっているため、単純に等間隔に文字を並べるだけでは読みにくくなってしまいます。
読みやすく、見た目にも美しい状態にするため、フォント(書体やサイズ)、行間、ルビなど、細かな情報を設定したうえで、書籍として仕上げていく必要があります。通常は、書籍のベースとなるレイアウトを作ったうえで(組版設計)、原稿を流し込んで組版を進めます。

 

書籍のジャンルに合ったレイアウトを

組版を行う際には、まず本の判型(サイズ)を決める必要があります。一般的な単行本は「四六判」という判型ですが、四六判より小さい「A6判」(文庫本サイズ)や、ひと回り大きい「A5判」など様々なサイズがあります。
組版において文字をレイアウトする際には、いくつかのポイントがあります。見出しや本文のフォントはどれにするか、1行に何文字、1ページに何行入れるか、行間をどれくらい取るか、などです。これらの設定によって、文章の見え方が大きく変わってきます。読みやすいレイアウトになるよう、いくつかのパターンを作成して比較してみるのもよいかもしれません。
次の図は、同じ原稿を4通りのレイアウトで組版してみた結果です。書体や文字サイズ、行間、行頭の位置、1行に入る文字数などが、それぞれ異なります。

 

4パターンの組版

一つのページにどのような見出しや本文が掲載されるかは様々ですが、一つの書籍の中では、ページの中にどんな原稿が来てもレイアウトが崩れることがないように、組版ルールを設計する必要があります。ページの中に「大見出し」と「中見出し」と「本文」がある場合、「小見出し」と「本文」がある場合、「本文」のみの場合など、様々な組み合わせが発生しますが、どんな組み合わせでも1ページにきれいに収まるように調整が必要です。

組版によって紙面の見え方を変えることができるので、書籍のジャンルに合ったレイアウトを選ぶことも重要です。例えば、入門書の場合はできるだけ内容・文章が簡単に見えるように「文字を詰めすぎない」などの調整をするのも一つの手法です。
これらの調整は、やはり編集者に相談しながら決めていくとよいでしょう。とても複雑な作業になるので、ここはプロに任せていただいた方が効率よく制作を進められます。

なお、弊社では通常はデザイナーが手を動かして行うこれらの組版作業を、自動化されたシステムを使って対応しています。書籍ごとに細かくレイアウトを変える等の融通は利きづらくなりますが、圧倒的に早く手をかけずに書籍データを作ることができるためです。弊社のような方法を採っているサービスは多くはありませんが、数社はありますので、制作方法としてのメリット・デメリットを聞いたうえで選択されるのがよいかと思います。

 

電子書籍用のデータ作成

紙の本で組版があるように、電子書籍を完成させるためにも「電子書籍データ作成」という作業が必要です。
電子書籍のリーダーは、スマートフォンやタブレット端末(KindleやiPad)、パソコンなどがあります。リーダーによって対応できるデジタルデータのフォーマット(形式)が異なるため、各リーダーに応じたファイルを作成することになります。
フォーマットの規格は多岐にわたりますが、使われることの多い主要なフォーマットは、EPUBというものです。

見え方という点では電子書籍は大きく2つの表示形式に分けることができます。一つが「リフロー型」、もう一つが「フィックスド型」です。
リフロー型は、表示する画面やデバイスに応じて、電子書籍の表示レイアウトが可変します。画面サイズに合わせて自動的にレイアウトが変更されるため、自分の好みに合わせて文字サイズやフォントを変えることができます。文字を中心とする読み物書籍はこちらの形式が圧倒的に読みやすいです。

 

2種類の書籍レイアウト(リフロー型とフィックスド型の違い)

フィックスド型は、表示する画面やデバイスに依存せず、レイアウトが変わらない形式のものです。画面が小さいデバイスを使うときは、自分で左右にスクロールさせたり、画面をズームさせたりする必要が出てきます。雑誌のように紙面が完全にデザインされているものは、基本的にフィックスド型でしか表示させることができません。

 

紙の本にはなく電子書籍のみに必要な設定もあります。目次をクリックすることで該当の章・節に移動できるようにすること、検索機能に対応できるようにすることなどです。紙の本は印刷する前に印刷データを確認するのと同様に、電子書籍データを作ったら、画像が適切に表示されるか、リンクが機能しているか、などのチェック作業が必要となります。

 

印刷・製本にはいろいろな方式がある

原稿ができ上がり、書籍としてのデザインが完成したとしても、本として完成させて読者に届けるためには最後に「印刷・製本」というステップがあります。「製本」とは、バラバラに印刷された紙をまとめて表紙を付けるなど、各種加工を施して本の形にすることです。
書店に並んでいる本を見ると、本には様々なバリエーションがあることが分かります。サイズ(判型)も様々ですし、重さや紙の種類・質、表紙の加工もそれぞれ異なっています。重厚でそれ自体がアートのようなこだわりぬいた書籍もあれば、手軽に持ち運びしやすいコンパクトな書籍もあります。このようなバリエーションを生み出すために、印刷・製本の方式にも、いろいろなバリエーションがあります。

印刷にはいくつかの種類・方式がありますが、制作コストに関連するため、「書籍づくりにかかる費用」のパートで説明します。

製本には、大きく分けると、簡易に製本された「並製本」と、ハードカバーといわれる「上製本」があります。製本方法によって印刷・製本コストは大きく変わり、完成時の書籍の印象も異なります。

 

並製本の特徴

並製本は企業の商業印刷物で多く使われている他、新書や文庫本など、皆さんが最も多く目にする製本方法です。接着剤や針金、糸などで簡易に綴じられており、表紙の素材は柔らかく、中面(本文ページ)に使用される紙のサイズと同じです。上製本と比べて簡易な作りのため、比較的コストを抑えて制作できます。また、製本工程がシンプルなため、短時間で大量に製本することができます。
弊社で発行した、並製本で作成した書籍(写真)をご覧ください。表紙の厚さが薄くて柔らかく、本文ページに使用されている紙と表紙の紙が同じサイズになっています。

並製本は、カバーなしのいわゆるペーパーバック型の本と、カバーを付けた形の本があります。同じ本でもカバーを付けるだけで、ペーパーバック型よりも少し高級感が出ます。

 

並製本・上製本で制作した書籍

上製本の特徴

上製本は、いわゆるハードカバーで作られている本です。厚く固い表紙、そして本文ページには専用の糸や接着剤などを使用して綴じます。本文ページにも比較的分厚い紙を使用します。次の画像は弊社で発行した上製本で作成した書籍です。しっかりとした表紙にすることで重厚感が生まれます。
上製本は並製本に比べコストがかかりますが、耐久性に優れ、長期保存に適した冊子となります。また、高級感があるため、一般書籍の他、記念誌や写真集などにもよく用いられます。ただし注文してから納期までに必要な時間が長いため、スケジュールを考える際には注意が必要です。

少部数作成も不可能ではありませんが、1冊分の制作コストが非常に高くなってしまうため、向いていません。上製本はある程度まとまった冊数を作る場合に選択するのがよいでしょう。
なお、弊社では本を一般販売する場合、注文を受けた後、1冊ずつ印刷・製本して読者に届けるという、少し特殊な流通方法を採用しているため、コスト面で1部から対応できる並製本を基本的な製本仕様としています。

 

今回は、作った原稿などをどのように書籍という商品として完成させるかについてご紹介しました。次回は、書籍の販売等についてご説明します。

 

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