伝わる原稿の書き方と原稿チェック【広報・PRのための、シンプルな本と企画のつくり方】第8回

文章を書くポイントと原稿チェックの基本

広報・PRのための、シンプルな本と企画のつくり方

この連載では、good.book(グーテンブック)という出版サービスでこれまで100冊ほどの書籍企画・編集・発行を手掛けてきた著者が、お手伝いさせていただいた企画やプロジェクトの経験から「シンプルな本づくりのポイント」を解説します。本づくりだけをしてきた著者ではないからこそ言える、「単なる本づくりではなく、事業や活動を広げる目的をベースにした出版プロジェクト」についてお伝えします。

 

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原稿を書き出す前にこれだけは決めておこう

目次作りの段階で、あまり長い時間をかける必要はありません。ある程度書籍全体のイメージが持てたら、原稿を書き出してみましょう。ライターに執筆を依頼する場合は、原稿内容のヒアリング・取材や執筆作業に入ってもらうのがよいでしょう。

 

ここからはご自身で原稿を執筆される方に向けて原稿作成のポイントをお伝えします。

原稿を書き出す前に必ず決めておくべきことがあります。文体を「です・ます」調にするか「だ・である」調にするかです。論文やレポート、記事原稿は「だ・である」調を使うことが多いですが、一般的に書籍原稿の場合は「です・ます」調にすることが多いです。「です・ます調」の方が柔らかい感じになり、「だ・である」調は硬い感じになります。どちらにするかは著者の好みで構いませんが、どちらにするかによってその本の印象が決まってしまいますので、編集者とも相談しながら決めることをお勧めします。

また、最初に「縦書き」の本にするか「横書き」の本にするかを決めておき、縦書きであれば、最初からMS Wordなどのドキュメント作成ソフトを縦書きにして書き進めるとよいでしょう。横書きの方が書きやすいという人は、まずは横書きで書いて、後でレイアウト変更機能を使って縦書きに一括変換する方法もあります。

 

よい文章を書くために押さえておくべきポイントとは

次に、文章を書くうえでのポイントをお伝えします。
文章というものは、その人なりの「書き癖」(文章スタイル)があるので、それを直すことはなかなかきません。癖のある文章でも、それがその人の個性となることもあります。頑張って美しい(整った)文章を書こうと思わずに、まずは自分なりのスタイルで書いてみましょう。一番大切なのは「読みやすい(伝わりやすい)文章かどうか」ということです。とにかく、伝えたいことが読者にスッと伝わるかどうかが重要です。
ここで、読みやすい文章を書くポイント、気を付けることを挙げてみましょう。

 

 ・一文が長すぎないか
  一文が長すぎると、いいたいことが不明瞭になります。長すぎる場合は句点「。」で区切って読みやすくしましょう。
 

 ・箇条書きの活用
  多くの情報を羅列する場合は、箇条書きを使うなど、読みやすい工夫をしましょう。

 

 ・口語体と文語体
  口語体(話し言葉)と文語体(書き言葉)が入り混じっていないか気を付けて書きましょう。

 

 ・表記の揺れ
  「従って/したがって」のように、同じ言葉が「漢字」と「ひらがな」になっていないか(表記の揺れ)に注意して表記統一しましょう。

 

 ・主語や目的語が明確になっているか
  日本語は主語や目的語(~に、~を)が不明瞭になりがちです。また、主語・述語の関係が適切かどうかも、常に注意しながら書き進めましょう。

 

 ・リズムやテンポ
  文章のリズムやテンポ(調子)がおかしくないか、読みづらくないか、を確認しながら書き進めましょう。

 

 ・改行位置
  改行位置が適切かどうか確認しながら書きましょう。このためにも、本書の5章でご紹介する1ページ・1行あたりの文字数は確認しておいた方がよいでしょう。

 

 ・強調(かぎかっこや太字)
  強調したい部分、明確にしたい部分には、かぎかっこや太字を使うと読みやすくなります。

 

 ・図版の活用
  図や表で説明した方が視覚的に理解しやすいことは、無理に文章で表現せずに、図版を書籍内に挿入して対応した方がよいでしょう。

 

各章・節のボリュームを調整し推敲をする

原稿がある程度書き上がってきたら、全体のバランス(各章の文章ボリュームのバランス)を見てみます。極端に長すぎる、または短すぎる章があれば、構成を調整してバランスを取る必要があります。例えば、長すぎる章は内容を分割して2つの章に分けることができないか、短すぎる章は別の章に含めることができないかなどを考え、各章のボリュームを整えます。
また、同時に各節の長さのバランスも見てみましょう。節ごとの文章量を見直してみて、極端に長い節があれば途中に「見出し」を入れて区切る、極端に短い節があれば、前後の節と一緒にできないかと考えて調整します。

ちなみに「見出し」は、その節の内容を短く的確に伝えることが大切ですが、最終的に「目次」となる、本にとって非常に重要な部分です。見出し(目次)の付け方が本の売れ行きに影響する場合もあるくらいです。いったん自分なりの見出しを付けておいて、最終的に、編集者にプロ目線で書き直しや調整をしてもらうことをお勧めします。

よい文章に仕上げるための最重要ポイントは、何度も読み直して「推敲」することです。

 

原稿の精度を上げるための3つの確認ポイント

ある程度原稿が仕上がったら、内容をチェック(推敲)します。まずは自分自身で読み返して(セルフチェック)、文章や内容に誤りがないか、いうべきことが分かりやすく書かれているかを確認しましょう。著者自身で誤りに気づき、修正しておくことで、その後の編集者・校正校閲者チェックによる修正量も減り、効率的に本づくりが進められます。

著者の確認が終わったら、編集者が原稿の精度を上げるための確認をしていきます。編集者によってチェックのやり方は異なるので、絶対に正しい確認の仕方というものはありませんが、参考として弊社で行っている「3つの視点で、3回に分けた確認」の方法をご紹介します。

この3つの視点による確認を行うことで、本づくりにおいてだけではなく、様々なシーンで精度の高い文章を仕上げることができるのではないかと思います。

 

編集者がやっている文章チェック① まずは内容全体を俯瞰でチェック

まずは、原稿で伝えようとしている内容全体を確認します。細かい言葉遣いや表記などは横に置いておいて、原稿に書かれた情報や主張は読者にとって有意義なものになるのか、役に立つものといえるのか、内容に問題がないか等を俯瞰してチェックします。
著者や編集者など作り手は企画の背景や想いを知っているため、原稿を通して伝えたいことが明確に理解できていますが、読者にとっては原稿(書いてある内容)から読み取れることがすべてです。でき上がった原稿を初めて読む読者視点に立った、真っ白な気持ちで読み直して、主張している内容・情報がすんなり頭に入ってくるかを確認します。実際にはなかなか難しいことですが、意識してシミュレーションすることが大切です。
企画段階や目次を作る際には「良い」と思っていても、文章化すると主張内容に問題を感じることも多々あります。企画段階でしっかり考え、苦労して執筆した内容を再検討することはためらってしまいがちですが、読者視点で読み直して何かしらの違和感を持ったら、やはりそこはゼロベースで内容を再考するようにしましょう。

 

編集者がやっている文章チェック② 論理的な破綻がないかを確認する

2つ目の視点として、論理的な破綻がないか、前後で書いていることに矛盾がないか、話の流れに不整合や齟齬がないかなど、文章のロジックをチェックします。
例えば、前ページではAと主張していたのに、同じことを次ページではBと話している。これでは読者も混乱してしまいます。書籍で伝えたい主張をより分かりやすく読者に届けるために、論理的な矛盾をチェックしましょう。こう書き換えた方が、よりスムーズな論理展開・話の流れを作れるのでは、と感じた際は章立てを含む構成自体を変更することもあります。
一つ目の視点より、原稿をもう少し細かく読み込み、話の流れが唐突だったり、不要だったりする話題がないか、逆に足りていない要素はないかなども意識して、読みやすく分かりやすい原稿にブラッシュアップしていきます。

 

編集者がやっている文章チェック③ 文章として問題ないかを校正する

3つ目はより細かな校正の視点です。表記や言葉遣いに問題がないか、誤った文章表現はないか、といった文章としての正しさを確認します。2つ目の視点よりさらに細かなチェックによって、誤字脱字がないか、日本語として正しいか、表記の揺れがないか、不適切な表現がないかなど、原稿の内容というよりは、文字や表記に誤りがないかを確認していきます。

今の原稿執筆は手書きではないのだから誤字脱字はあまりないのでは? と思われるかもしれませんが、PCでサクサク変換できるからこそ、間違いが発生します。誤字の例をご紹介しましょう。

 

×「~を期に」 ○「~を機に」
×「税を収める」 ○「税を納める」
×「収穫料」 ○「収穫量」
×「日本国有の領土」 ○「日本固有の領土」
×「用いらない」 ○「用いられない」

 

また、次のような場合に表記の揺れが起こりやすくなります。

 ・「ねこ・ネコ・猫」や「Amazon・アマゾン」のように、同じ言葉でもひらがな・カタカナ・漢字・英語で表記できる場合
 ・「引っ越し・引越し・引越」のように、送り仮名が1種類でない場合
 ・「午後七時・午後7時」のように、漢数字と算用数字が用いられる場合
 ・「Web・Web」のように、大文字と小文字両方の表記ができる場合
 ・文末の表記揺れ(〜です・〜ます)(〜だ・〜である)

 

この「正しい文章かどうか」のチェックを効率よく進めるために、様々な校正ツールの利用をお勧めします。簡単に使える校正ツールとして、次のようなものがあります。

 

MS Wordに入っている自動校正機能
原稿作成のためにも多くの方が利用するドキュメント作成ソフトMS Wordにはチェック機能が付けいています。誤字脱字やスペルチェック、「ら」抜き言葉も自動チェックしてくれます。細かく確認したい方はMS Wordの校閲機能を調べてみてください。ただし一語ずつ機械的にチェックされているので、文体(です・ます/だ・である)の不備や、表記揺れなどは細かく検知されません。

 

Just Right!による文字校正
単純な誤字脱字だけではなく、表記揺れや文体の統一などを含めて全体的にチェックすることができる校正専用のツールです。次の画像は、本書の校正・修正前文章をJust Right!でチェックしてみた結果です。「誤まり」「謝り」といった誤字脱字の指摘だけではなく、「いちばん→一番」「様々な→さまざまな」のように、「これはひらがな(または漢字)表記にしませんか?」と提案してくれています。

最終的にはやはり人の目で確認することが必要ですが、こうしたツールを使うことで、効率的に作業を進めることができます。

 

Just light!の校正結果

原稿チェックの3つの視点についてご紹介しましたが、ここで重要なのは「異なる視点を同時に確認しない」ということです。異なる視点で同時に確認しようとすると、どうしても意識が散漫になり、視点がぶれてしまう可能性があるからです。文章の細かなところが気になってしまうと、そもそもの内容自体に問題がないかといった俯瞰の視点は持ちづらくなるでしょう。時間はかかりますが、3つの視点で3回確認するということが、漏れのない確認作業につながります。

 

「欠けている内容がないか」は著者自身のチェックが重要

プロの編集者による確認と同時に、もちろん、著者によるセルフチェックも必要です。特に、「欠けている内容がないか」の観点は、編集者のチェックだけではどうしても拾いづらいため、著者自身でしっかり確認する必要があります。編集者は書かれた原稿をよりよくブラッシュアップする技術には長けている方が多いですが、そこに書かれていない内容を「足りない」と指摘することは難しい場合があります。

自分で書いた原稿のおかしな点や誤りを見つけることは、他人が書いた原稿の誤りを見つけることよりも難易度が上がります。書くときに気づけなかった誤りは、確認するときにも見過ごしやすくなります。自分が書いた原稿は、心のどこかで「正しいはず」と思い込んでしまいがちですが、特に最初は「必ず間違いがある」「絶対におかしな点があるはず」という意識を持って確認するとよいでしょう。

 

最も有効なチェック方法「音読」をしよう

初めてその本を読む人が内容をきちんと理解できるのか、という観点も、知識がありすぎる著者にとっては確認しづらいポイントです。
同じ本を読んでも、10を知る人と1しか知らない人では理解度は変わります。著者が一般常識と思って使っている言葉も、実は専門用語で一般の人には伝わらない言葉だった、ということはよくあります。自分で書いた原稿をセルフチェックするということには限界もありますが、これらの観点を頭の隅に入れながら確認することで、原稿の精度を上げることができます。

また、原稿をチェックする際の最も有効な手段は「音読すること」だともいわれます。声に出して文章を読むと、黙読しているときには気づかなかった文章の誤りや、主語・述語の不整合、その他内容に関しておかしな点に気づくことがあります。文章のリズムやテンポがよいかどうかも、音読することによって確認できます。何度も音読することは大変ですが、最終チェックをするときには、ぜひ原稿全体を通しで音読することをお勧めします。

 

今回は、伝わる原稿の書き方と原稿チェックについてお伝えしました。次回は「タイトルと表紙」について説明します。

 

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