認証試験から分かる”B Corp認証制度の大切にしていること”
2022-01-04
B Corp認証制度の大切にしていること
B Corp認証試験(B Impact Assessment )についてご紹介いたします。
“いい会社”
どのような会社をいい会社と呼ぶのでしょうか。その答えは、人それぞれだと言えます。年功序列でなく、能力によって配給を受けられる会社がいい会社だと考える人もいれば、ワークライフバランスを大切にしていて、プライベートと仕事の両立が叶うところがいい会社だという考えを持つ人もいるでしょう。
私たちは今、”いい会社”を発信する事業を進めています。その一環として、いい会社の1つの基準となるB Corp認証について調べてきました。前回の記事では、B Corpの概要と、日本での広がりについてご紹介しました。こちらではさらに、認証に必要な試験(B Impact Assessment)について詳しくお伝えしたいと思います。
B Corp認証を得るためには
B Corp認証を得るためには、5つの分野(ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、カスタマー)から構成される200点満点の認証試験(B Impact Assessment)で80点以上を獲得することが条件です。
80/200点?それなら取れそうだ、と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、そう簡単なものではないのです。
以下に、試験の内容例をご紹介したいと思います。
①B Corp の認証試験「ガバナンス編」
Q1. 社会・環境への配慮において企業が掲げる目標がどれくらい達成されているかによって評価がなされているのは、経営全体の何割程度でしょうか?
A1. 1. 0%
2. 1~24%
3. 25~49%
4. 50~74%
5. 75%以上
Q2. 会社の財政状況(給与の情報を除く)を正社員と共有する方法は確立できていますか?
A2. 1. いいえ
2. はい – 会社は少なくとも年1回、すべての財務情報(給与情報を除く)を開示して
いる。
3. はい – 会社はオープンブックの管理プロセスを持っている。
4. はい – 会社は、もし従業員に尋ねられたら、基本的な収益/コストの数字を共有して
いる。
5. はい – 会社は少なくとも四半期に1回、すべての財務情報(給与情報を除く)を開
示している。
6. 会社は、財務の情報の共有について、内部の教育プログラムも持っている。
Q3. 会社の属する産業領域において広がる社会・環境への配慮の水準を、新たな水準へと引き上げようという取り組みはありますか?
A3. 1. はい
2. いいえ
Q4. 会社の保有者が変わっていこうとも、会社が掲げている社会・環境へ対する取り組みは継続されていくという確信がありますか?
A4. 1. ステークホルダーに対する誓約を盛り込む
2. 会社のミッションを維持するための具体的な法的経営体制の構築(例:協同組合、
ベネフィット・コーポレーションなど)
3. その他(具体的にお書きください)
4. 上記に該当しない
②B Corp の認証試験「従業員編」
Q1. 与えられた資料をもとに市場全体の報酬水準と比較したとき、あなたの会社の報酬設定は全体の水準を上回っていますか?あるいは下回っていますか?
A1. 1. 市場の水準を下回っている
2. 同等
3. 上回っている
4. 対象外(報酬に関する資料を参照していない)
Q2. 正社員が一年間に与えられる休暇・病欠日・有給・祝祭日休みの合計日数が一番少ないケースは、何日ですか?(ここにいう正社員とは、会社に2年以上あるいは会社の設立以来勤務を継続している正社員のことをさす)
A2. 1. 0~15日
2. 16~20日
3. 21~25日
4. 26~30日
5. 30日以上
Q3. 前の会計年度において、キャリア向上のための教育の費用手当を受け取ったのは、全正社員のうち何パーセントでしたか?
A3. 1. 0%
2. 1~5%
3. 6~15%
4. 15%より大きい
Q4. 正社員が保有する自社株は、会社の株式全体の何パーセントを占めていますか?(設立者・執行役の保有する株式は除く)
A4. 1. 0%
2. 1~4%
3. 5~24%
4. 24~50%
5. 50%より大きい
Q5. 過去2年間の会計年度の間に行われた従業員の満足度調査によれば、雇用環境に満足している従業員は全体の何パーセントですか?
A5. 1. 65%より小さい
2. 65~80%
3. 80%より大きい
4. 該当なし
Q6. 労働環境の安全や衛生に対し、監察や助言を施す委員会は設置されていますか?(倉庫や工場での労働を伴わない会社は、N/A(該当なし)を選択してください。)
A6. 1. はい
2. いいえ
3. 該当なし
③B Corp の認証試験「コミュニティ編」
Q1. 主要供給元上位20社における社会・環境への配慮を評価する際、次のうちどのやり方を採用しますか?
A1. 1. 重要な供給元を全て訪問
2. 特定の環境基準を要求
3. 特定の社会的基準が必要
4. 第三者による社会・環境評価基準の適用
5. 少なくとも年1回の評価を実施
6. 地元の供給元を優先的に採用している
7. サステナブル、フェアトレードの供給元を優先する
8. 上記のいずれにも該当しない
9. その他
Q2. 経営陣に占める、立場の弱い人の割合はどの程度ですか?(女性や障害者、貧困層出身者など)
A2. 1. 0%
2. 1~19%
3. 20~29%
4. 30~40%
5. 40%より大きい
Q3. 正社員が地域の奉仕活動に参加するために取得できる有給または無給の休暇について、当てはまるものを以下から選択してください。
A3. 1. 無給休暇
2. 有給休暇
3. 年間20時間以上の有給休暇
4. 有給・無給を問わず、提供しない
Q4. サービスを享受できていない以下に挙げる人々の中で、事業の対象に据えているものを全て選んでください。もしもあなたの会社がBtoBの事業に従事しているのであれば、その事業のアウトプットを最終的に享受する層を特定してください。
A4. 1. 低所得者、貧困層、超貧困層(低所得のマイノリティやその他の十分なサービスを
受けられない人々を含む)
2. 少数民族、障害者、その他十分なサービスを受けていない人々(ただし、低所得者
は除く)
3. 貧困層にサービスを提供している非営利団体
4. 貧困層にサービスを提供する以外の非営利団体
5. 上記のいずれでもない(この項の残りの質問をスキップする)
④B Corp の認証試験「環境編」
Q1. 環境への取り組みに対するフィードバックや監査結果を正式に共有しているコミュニティのうち、最も大きな規模のものを教えてください。
A1. 1. オーナー、役員、取締役
2. 従業員
3. 会社以外の幅広いコミュニティ
4. 該当なし
Q2. 施設を賃貸している場合、過去2回の会計年度において、家主と協力して以下のいずれかを実施しましたか?(賃貸していない場合は、該当なしを選択してください)
A2. 1. エネルギー効率の向上
2. 水効率の改善
3. 廃棄物削減プログラム(リサイクルを含む)
4. 上記のいずれにも該当しない
5. 該当なし(賃貸でない)
Q3. 昨年、何パーセントのエネルギー(会社の売上に対する相対値)が節約されましたか?
A3. 1. 0%
2. 1~4%
3. 5~9%
4. 10%以上
5. 分からない
Q4. 使用するエネルギーのうち、生産過程で得られる再生可能エネルギーは何パーセントですか?
A4. 1. 0%
2. 1~4%
3. 5~10%
4. 10~15%以上
5. 15%以上
Q5. 発生するすべての廃棄物をチェックし、記録していますか?
A5. 1. 現在、廃棄物の排出量を把握・記録していない
2. 廃棄物の排出量を把握している(削減目標はない)
3. 廃棄物発生量を把握し、具体的な削減目標を設定している
4. 廃棄物の排出量を把握しており、報告期間中に具体的な削減目標を達成した
5. N/A(廃棄物の生産はない)
B Lab: B Impact Assessment より引用
おわりに
いかがでしたでしょうか。これらの問いを最高水準で満たしている企業はそう多くはないのではないかと思います。認証を得た企業も、長い時間をかけて事業活動を見直し、改善を重ねたのでしょう。
B Corpの認定期間は3年間で、更新するためには再度試験(B Impact Assessment)を受けなければなりません。常に今ある会社の状態を把握し、社会・環境的な課題に対して改善を図ることが求められます。
B Corp認証制度は、B Corp認証を得ることが最重要な目的でなく、営む事業活動によって影響を受ける人(株主、労働者や消費者)や環境に配慮し続けること、持続可能な社会をつくり続けることを何よりも大切にしているということが分かりました。
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