【制作秘話】株式会社タングラボ・ジャパン様|注目される革新的な舌機能不全を改善するための治療「TRP」の普及を目指す。「患者さんの感覚に寄り添った」丁寧な治療をサポートする、マニュアル制作の裏側
革新的な歯科治療の普及を目指した「治療マニュアル」制作の取り組み
株式会社タングラボ・ジャパン様
担当:進行管理・構成企画・取材執筆・編集・校正・ペーパーデザイン制作
プロジェクト期間:約3か月
株式会社タングラボ・ジャパン(以下、タングラボ)様でお取り扱いされている、舌機能不全の治療用マウスピース「タング・ライト・ポジショナー(以下、TRP)」の装着手順をまとめたマニュアルを制作させていただきました。
TRPとは舌の位置を矯正するためのマウスピース。寝ている間に装着するだけで、舌機能不全から引き起こされるいびきや歯並びの改善、顎関節の痛み、口呼吸などを治療できると言われています。
舌の位置を矯正することで、口腔内の適切な発達を促し、姿勢を改善する効果が期待できるため、小児歯科の領域やアスリートのパフォーマンスアップなど幅広い分野での効果が期待できる最新医療です。
今回はTRPの装着と調整を行う歯科衛生士さんの視点で、患者さんへのスムーズな対応ができるよう器具装着の手順や装着後の調整方法などを、段階ごとに治療マニュアルとしてまとめました。
本件を弊社にご依頼いただいた、株式会社タングラボ・ジャパンの濵田 吉嗣さんにインタビューを行いました。
<治療マニュアルのイメージ>
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株式会社タングラボ・ジャパン様
株式会社タングラボ・ジャパンの濵田 吉嗣さん
注目される最新治療「TRP」の可能性と、
クリニックでの導入を後押しする治療マニュアルの制作
TRP (Tongue Right Positioner/タング・ライト・ポジショナー)
「コロナで血中酸素濃度が話題になりましたよね。90%切ったら救急車を呼ぶレベルでしたが、睡眠時無呼吸症候群の場合はどのくらいになっているかご存知ですか?」
睡眠時無呼吸の場合、就寝中の血中酸素濃度が頻繁に、「救急車を呼ぶレベルを超えた状態」に陥るそうで、いびきや睡眠時無呼吸がいかに恐ろしいことなのか、治療の必要性について濵田さんは真剣な表情で語ってくださいました。
軽度の睡眠時無呼吸の方がTRPを使用すれば、中等度から重度の症状を予防する効果が期待できるため、新しい歯科治療として期待されていますが、長期的な治療と患者さんへの丁寧なアフターフォローを要するため、採用するクリニック側にとってハードルが高いという課題がありました。
そこで、TRPの取り扱いを検討いただくクリニックの不安の解消と、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整える一環として、器具の装着から患者さんへの丁寧なアフターフォローの方法まで、治療の一連の流れをまとめた治療マニュアルを作ることになりました。
治療マニュアルが後押しする、歯科衛生士さんの新たな活躍
本マニュアルはTRP治療の現場での使用を目的としていたため、現場の治療者目線でTRP治療の情報を取捨選択し、どのような順番で、どのような形で伝えるとわかりやすいのかを整理していきました。
情報を整理する過程において、以前からタングラボ様が実践されていたTRP治療に関するセミナーの内容を見直すきっかけにもつながり、完成した治療マニュアルはセミナーのテキストとしても活用されることとなりました。
「今回は一般社団法人日本歯科厚生協会様ともタッグを組んでTRPの治療マニュアルを作りました。マニュアルのおかげで、TRP治療を指導するフローがわかるので、歯科衛生士さんの新しい活躍の場として、TRPの実践セミナーや歯科医院内での業務のスムーズな立ち上げに取り組んでいただけるのではないかと考えています」
今までのセミナーはタングラボ様の社内で対応されていたため、セミナーの開催数に限りがありましたが、歯科衛生士さんとのコラボレーションが実現すると、より多くの方にTRP治療を広めることにつながりそうです。
「患者さんに寄り添った治療」を実現するためのマニュアルとは?
お客様に寄り添った、masterpeaceの伴走型プロジェクト
TRP治療において重要なことは「患者さんの感覚に寄り添った治療」をすることです。
TRPは一人ひとりに適した形で製作しますが、効果的な治療を進めるには適度な刺激を感じる状態を維持させなければならないため、装着時の患者さんの嚥下(えんげ)や呼吸の状態などを観察し、患者さん自身の感覚をヒアリングして調整する必要があります。
そこで、本マニュアルではTRP治療の概要や装着の手順から、装着後の確認事項、調整方法までを丁寧に解説し、TRPを取り付ける歯科衛生士さんの視点で、患者さんの感覚を確認しながら治療を進められるものを目指しました。
マニュアル制作の過程を振り返り、masterpeaceとの取り組みについて濵田さんは次のように語ってくださいました。
「普段、歯科医師に向けてセミナーをしているので、TRPの装着方法を話すことはできますが、自分でマニュアルとしてまとめるのは非常に難しい。特に、マニュアルとしての構成やレイアウトを考えたり、適切な言葉を選択したりするのが難しい。
だから、masterpeaceさんのように、マニュアル制作のノウハウのある方に依頼してよかったです。コミュニケーションを取って、話しながら私の感覚を理解いただいた上で進められたことも非常に安心できました。
TRPの普及とともに新しい情報が追加されていくため、マニュアルも進化させていきたいと思っています。更新対応も、引き続きよろしくお願いします!」
【制作のポイント①】治療の作業中でも確認しやすいよう、複雑な治療工程を整理して体系化
時間経過に沿って治療の工程を2つの章と6つのステップに分けて整理し、手順の詳細をまとめました。また、各ステップの冒頭では、その段階で行う治療のポイントやハウツーをまとめたコーナーを設け、治療の作業中でも確認しやすいマニュアルを目指しました。
【制作のポイント②】図や表を使って視覚的にわかりやすく。専門用語の辞書機能を付加して一層知識が深まるマニュアルへ
図表や画像を使って視覚的にわかりやすく情報を整理し、複雑な内容でも理解が深まるマニュアルを目指しました。また、ページの欄外に、各ページで登場した専門用語の説明書きを加え、専門用語を把握していなくても一定の理解が進むようなページ構成を目指しました。