自分でできることはどれ?書籍制作の流れを知ろう【出版社をやってみて分かった「本と企画のつくり方」】

【第4回】この連載では、本Webサイト「biblion」も運営している出版社(株式会社masterpeaceと申します)でこれまで100冊ほどの書籍企画・編集・発行をお手伝いさせていただいた筆者(代表兼編集者をやっております)が、自社でお手伝いさせていただいた企画やプロジェクトの経験からお伝えできる範囲で「シンプルな本づくりのポイント」をお話させていただきます。

good.book(グーテンブック)という出版サービスを運営している窪田と申します。
この連載では、もともと編集者でもなかった私が、様々な著者さん・編集者さんとご一緒するなかでわかった範囲で、「本や企画作りのポイント」について簡単にお話させていただきます。(生粋の書籍編集プロの皆様からはお叱りのお言葉をいただく内容もあるかもしれません。門外漢ゆえの、、としてご了承ください。)
弊社の出版サービスは、主に電子・印刷書籍を複数のWeb書店を通じて販売するというものです。大手出版社さんの「全国の書店に書籍を並べて販売する」出版方法とは主に流通面で異なる点は多いのですが、企画の作り方や書籍制作の進め方についてはそこまで大きな違いはないかと思います。
「これから本を作りたい著者さん」あるいは「書籍化したら面白そうなネタがある企画者さん」のご参考となれば幸いです。
尚、弊社の発行企画の傾向から、特に「書くことが好きでただ書きたい!」方よりは、「書籍を作って、人に伝えることでお仕事や様々な目的でなんらかの効果を生み出したい」と考える人のための本づくりを中心にお話させていただきます。


前回までは、テーマの絞り方と、その本を手に取ってもらうためのアプローチについてお伝えしてきました。
今回の記事では、実際に本づくりを始めるときに考えるべき「役割分担(登場人物)」と「本づくりの流れ」についてご紹介します。


本作りの役割分担(登場人物)

1冊の本が発売されるまでには、どのような役割の人が関わり、どのような工程で作られているのかを簡単に見ていきましょう。原稿を書く著者さん以外にも次のような役割の人が関わっています。(ここに書いてある役割分担は主に弊社の出版流通の場合です。出版方法や企画によって登場人物は変わる場合があります。)

①著者さん

本づくりでいちばん重要な登場人物は、著者さんです。伝えるべき情報を持っている著者さんがいないと、本は生まれません。著者さんは、本づくりの出発点となる原稿を書きます。

②ライターさん

書くことに慣れていない著者さんが原稿を書こうとすると、膨大な時間が掛かってしまったり、書き進めることができなかったりする場合があります。著者さんの持っている「伝えるべき情報」を、ライターさんが取材して引き出し、原稿として書きあげます。

③編集者さん

企画を立て、その企画を実現させるためには誰にどんな仕事を依頼すればいいのか、制作の段取りを決め、完成までをディレクションします。
原稿やデザインを確認し、宣伝用コピーのアイデアや販売戦略を考え、予算も管理します。

④デザイナーさん

本の表紙やカバーの装丁をデザインします。必要に応じて、文中に挿入するイラストを描く場合もあります。弊社の出版サービスでは自動化しており、あまりお願いすることはありませんが、文章レイアウト自体を作成してもらうこともあります。

⑤校閲者さん

書かれた原稿の内容が正しいかを確認して、その誤りを指摘するチェックのプロです。

⑥出版社や取次店(注文を受けて商品の取次をするお店)

本を読者の手元に届けます。出版社は書籍を完成し、責任をもって「発行」します。直接書店さんや読者に販売する方法もありますが、より多くの販売店に広げるために「取次店」という書籍を広げるお手伝いをしてくれる会社さんに協力を依頼することもあります。

⑦Webストアさん・書店さん

本を販売します。

制作の大まかな流れ

いろいろな役割の人が登場するということは、その分の工程があるということです。
本づくりをするにあたって、最初に、自分でやること(できること)と、誰かに依頼してやってもらうことを整理する必要があります。

①企画づくり

テーマが決まった後、本に盛り込みたい要素を洗い出し、章立てや目次を決めていきます。目次を決めると、ボリュームも想定しやすくなります。

②作り方を決める

本づくりは、自費出版を扱っているところであればどの出版社さんでもできますが、費用や販売方法は出版社さんによってかなり異なります。もちろん、全ての工程を著者さん自身でできる場合は出版社さんを利用せずに作ることもできます。
印税率や部数の考え方も、出版社さんあるいは個々の契約によって異なってきますので、予算に見合った出版社さんを選ぶことが大切になってきます。
そして、著者さんがやること(できること)を出版社さんと調整し、費用を見積もります。
本づくりにおいて、本の作り方を決める工程は1つ目の山になります。これらの調整ができてくると、完成までの道筋が見えてきます。

③原稿執筆

作り方が決まった後は、原稿を書いていきます。ただし、書くことに慣れていない著者さんが急に原稿を書こうとすると、なかなか書き進められないこともあります。
せっかく本づくりを企画して作り方を決めたにも関わらず、ここで挫折してしまうと非常に残念なので、企画と同時に、原稿を書くことに「覚悟」をしておくとよいと思います。
原稿が書けたら2つ目の山をクリアしたことになります。完成まではもう一歩です。

④必要に応じて挿入図版・表を用意する

著者さんが用意するか、出版社さんが用意するかは②の工程で調整します。

⑤編集

③④を終えた段階で、原稿を確認します。読み直すことで、最初は気づかなかった読みにくさや構成の悪さが気になることがあるので、書き直しに時間がかかることも多いです。

⑥組版

書籍データを作成します。

⑦タイトル・書誌情報・価格設定などを決める

書誌情報や価格設定は最後でも問題ないですが、前もってタイトル案を考えておくとスムーズにタイトルを決めることができます。

⑧表紙デザイン

デザイナーさんに表紙のイメージや書籍情報を伝えて作成を依頼します。できあがったサンプルのデザインや色が書籍のイメージにあっているか、文字の大きさやフォントのバランスがおかしくないかを確認します。また、帯を作る場合は帯のデザインも用意します。

⑨校正・チェック・修正

必要に応じて、複数回やることもあります。

⑩書籍の完成

ハードが完成しても、これで終わりではありません。印刷準備のための印刷会社とのやりとりや、販売店さんへの調整などにも時間がかかります。

⑪流通処理・(必要な場合は)印刷

書籍の印刷:プリンターからさくっと印刷されるわけではありません。印刷会社さんに印刷用のデータを入稿し、色味を含めて見本をチェック(校正)した後、ようやく印刷・製本できます。通常、入稿から2~3週間かかります。
流通:販売店さんに書籍の内容を伝えます。Web書店で電子書籍を販売する場合も、各ストアさんのルールにそって、販売用のデータやデータベースの登録を行います。紙の書籍を書店で販売する場合は、取次店さんを通すか、直接書店さんに納品します。

⑫書籍発売

書店やAmazonなどのWeb書店に本が並びます。


できること、任せることを整理する

これらの工程のなかで、どこまでを自分がやるのか・できるのかを考えます。
例えば、セルフパブリッシング(AmazonのKDPなど、出版社などを経ずに自分で全てを執り行い、私費で出版すること)は、①~⑤、⑧を自分で行います。⑥⑦をWeb上のツールを使って行い、⑩~⑪はWebストアを利用します。
出版社さんだと、③~⑧をお任せできますが、もちろん、著者が原稿を書いて、チェックする必要はあります。
ちなみに弊社の出版サービスでは、著者さんが「できること」に応じて、お手伝いさせていただく範囲を変えています。

*ライト
   ①・②・③・⑤は著者さん。
   他は弊社にお任せいただく。

*しっかりサポート
   ①も含めてまるっと①~⑪まで弊社でお手伝い。

編集者の役割

とはいえ、やっぱり「編集者」としての第三者の目線はとっても重要です。
著者さんはどうしても「自分が書きたいこと」につい夢中になるし、それがどこまで伝わるか・求められるかの判断はやっぱり書いてる自分自身では難しくなってしまいます。
著者さん自身が一人で出版できる仕組みはたくさん出てきていますが、クオリティをあげていくのには「ヒト」が必要かなと思います。
このあたりの「編集者」の役割と責任については、本のメディアではないのですが、次の記事がとても勉強になると思いますので、ご紹介させてください。

編集者になるために特別な才能は必要ないと思います。繰り返しますが、編集者として大事なことは、「この人はなんでこんなことを考えているのか」なんて面白い人がいたとき、それを「誰かに知ってほしい」、「伝えたい」と思うこの興味の持ちかたと紹介したいという熱意です。何もできないからこそ誰かの才能を評価できる。それが編集者。そこをやっぱり心がけてほしいです。そのために好奇心を持ち続けてください。(引用)


編集者の役割だけではなく、
・マンガはどうなるのか。
・デジタルから生まれるコンテンツ。
・コンテンツビジネスはどうなる。
・作家と編集者の育成。
など、がっつりコンテンツをやる人にとって、ど真ん中なテーマがいっぱいの記事です。
さらにこの連載の内容からはずれますが、鳥嶋さんの記事はこちらもおすすめです。
めっちゃボリュームがありますが、こちらでは、コンシューマゲームが伸びる時代に、才能あるクリエイターと出会って、鳥嶋さんがあくまで編集者として、と言いながらめっちゃフィクサー的に面白企画を実現していった裏話です。

少し話がそれてしまいましたが、本づくりの登場人物と大まかな流れ、編集者の目線を入れることの有用性をお伝えしました。次回は「本づくりの見積・計算」についてお話しします。


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